石垣島で産業廃棄物収集運搬業をはじめたい方へ


産業廃棄物収集運搬業とは?

産業廃棄物収集運搬業とは、工場や建設現場などの「事業活動に伴って生じた廃棄物(産業廃棄物)」を収集し、適正な処分場まで運搬する事業です。この業務を行うには、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(通称:廃棄物処理法)基づき、都道府県知事の許可を受ける必要があります。 石垣市では建設業者・自動車整備業者・清掃業者などが主な対象で、申請窓口は八重山保健所(生活環境班)です。

行政書士
ポイント

★沖縄県での補足事項★

沖縄県知事の許可を取得すれば県内全域での事業が可能です。ただし、那覇市内で「積替えまたは保管」を行う場合や、那覇市内のみで業を行う場合は那覇市長の許可が必要となる例外があります。

許可の種類

産業廃棄物処理に関する許可は、取り扱う廃棄物の種類と事業内容に応じて、主に次の2種類に区分されます。

  1. 産業廃棄物収集運搬業許可
    対象: 一般的な産業廃棄物(廃プラスチック類、金属くず、木くずなど)比較的有害性の低いものの収集・運搬を業として行う場合
  2. 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可
    対象: 爆発性、毒性、感染性などの性状を有し、人の健康や生活環境に重大な影響を及ぼすおそれがある有害性の高い廃棄物(例:特定の廃油、廃酸、廃アルカリ、感染性産業廃棄物など)の収集・運搬を業として行う場合

【積替え・保管を行う場合の取扱い(重要)】

産業廃棄物の「収集運搬業許可」は、基本的に積替えや保管を伴わない運搬を対象としています。運搬途中で廃棄物を一時的に置く施設(積替え・保管施設)を設置する場合は、申請前に 「沖縄県産業廃棄物処理施設等の設置に関する指導要綱」 に基づく事前協議(八重山保健所による確認) が必要となります。(「事前協議対象外地域」に該当する場合、事前協議は不要)

行政書士

積替えのみ(港湾の場合): 積替え場所が重要港湾又は地方港湾に該当する場合、船舶との積替えを行う申請者に限り、一部書類の添付が不要となる軽減措置があります。石垣港は重要港湾に指定されているため、積替え場所として利用する際は、事前に八重山保健所への確認が推奨されます。

積替え保管(準工業地域): 石垣市内の準工業地域において積替え・保管施設を設置する場合は、原則として事前協議の対象外です。ただし、施設の規模や取扱い品目によっては個別協議が求められることがあります。

【留意点】

運搬のみを業として行う場合は「収集運搬業許可」で足りますが、運搬の途中で処分(中間処理や最終処分)を行う場合は、別途「処分業許可」も必要となります。また、石垣市・八重山地域で離島間での運搬を行う場合には、フェリー航路(船舶運搬)や積替え保管場所の計画(積替え保管)を明確に示すことが求められます。

許可が必要な行為(業の範囲)

産業廃棄物収集運搬業の「許可が必要かどうか」は、運搬する廃棄物の種類と、他人(他社)の廃棄物を「業として」収集・運搬するかどうかによって判断されます。次のような場合は、許可が必要な行為(業)に該当します。

許可が必要となる主なケース
  • 他人(他社)が排出した産業廃棄物を収集・運搬する場合(委託を受ける場合)
    例:建設業者から依頼を受け、現場で発生した廃材・がれきを自社トラックで処分場へ運ぶ
  • 自社以外の事業者の廃棄物を有償または無償で運搬する場合
    ※「無料で引き取るだけ」であっても、処理委託の性質を持つ場合は許可が必要です
  • 離島間で産業廃棄物を運搬する場合(石垣島→沖縄本島など)
    運搬の開始地点(積込み地)または終了地点(積卸し地)が沖縄県内の異なる区域に関わる場合は許可が必要です
    ※船舶による航送(フェリー等)を利用する場合も含まれます
  • 請負契約や委託契約に基づいて、他人の廃棄物を運搬する場合
    例:建設会社が解体工事を請け負い、下請けが廃棄物を運搬するケースなど
    ※例外※ 建設工事において、下請負人が請負契約の定めに基づき自らその工事に伴う特定の産業廃棄物を運搬する場合、当該下請負人を「事業者」とみなし、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要です
許可が不要となる主なケース
  • 自社の事業活動で発生した廃棄物を自ら運搬する場合(自己運搬)
    例:建設会社が自社工事現場の廃棄物を自社車両で処分場へ持ち込む
    ※注意※ 許可は不要ですが、運搬・保管の方法については廃棄物処理法で定められた処理基準に従う義務があり、特定の条件下では、保管に関して都道府県知事への届出が必要となる場合があります
  • 家庭から排出された一般廃棄物を自治体の委託で運ぶ場合
    一般廃棄物(家庭ごみ)は市町村の許可・委託制度の対象であり、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要
  • 単なる輸送業務(製品・原料・資材の運搬など)
    製品や再利用可能な資材の運搬は対象外
    ※廃棄物(ごみ、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物)に該当しない場合は許可不要

許可を取得するための主な要件

産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するには、廃棄物処理法第14条に基づき、事業の適正性・人的要件・設備要件など、いくつかの基準を満たす必要があります。以下では、主な許可要件をわかりやすく整理しています。

1.事業を的確に遂行できる体制であること

廃棄物の収集・運搬を安全かつ適正に行うための体制が整っていることが必要です。
具体的には、以下のような点が審査されます。

  • 適切な事業計画があること(運搬経路・処分先などが明確)
  • 業務を管理できる責任者が配置されていること
  • 従業員に対し、廃棄物の取扱いに関する教育・指導体制があること

2.欠格事由に該当しないこと

以下のいずれかに該当する場合は、許可を受けることができません。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権していない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、一定期間を経過していない者
  • 暴力団員またはその関係者
  • 過去に廃棄物処理法違反等で許可を取り消された者
  • 法人の場合、役員のいずれかが上記に該当する場合も不可

※ 沖縄県では、申請時に身分証明書および登記されていないことの証明書を提出する必要があります

3.必要な設備・車両を有していること

産業廃棄物が飛散、流出せず、悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有することが求められます。また運搬に使用する車両を適正に保有または使用する権限が必要です。

  • 使用権限の証明(車検証、リース契約書、使用承諾書 など)
  • 車両が運搬に適した構造であること(密閉性、防水性、飛散防止措置)
  • 車両に社名・許可番号を表示できる体制があること ※表示義務
  • 石垣市・八重山地域では、フェリー航送を伴う場合の積載方法や安全対策も確認対象(運搬船の写真、船舶検査証書の写し、船舶国籍証書の写しの提出が必要)

4.財務的基盤が安定していること

安定した事業運営が見込める財務状況であることが求められます。申請時には、次のような資料で確認されます。

  • 決算書・確定申告書(直近3期分)
  • 資産・負債・利益のバランス(経営状況が債務超過に陥っている場合は不許可となる可能性あり)
  • 新規事業者の場合は、資金計画書や見積書による確認

5.知識及び技能を有していること(講習会修了)

申請者(法人にあっては役員または使用人、個人にあっては申請者または使用人)は、産業廃棄物収集運搬業を的確に行うに足りる知識及び技能を有していることが要件です。この知識及び技能を証明するため、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する「産業廃棄物収集運搬業に関する講習会」を許可申請者等が修了していることが求められます。

  • 修了証の写しを申請時に添付します
  • 沖縄(那覇)で実施される講習会は年数回と少ないためお早めに日程をご確認ください
  • オンライン講習も一部対応可能会(修了試験のみ会場で受ける)

6.適正な事業計画・運搬経路を示していること

  • 運搬先(中間処理場・最終処分場)との契約関係が明確であること
  • 廃棄物の積替え・保管を行う場合は、その施設の構造・規模が基準を満たすこと
  • 石垣市では、離島間運搬の場合、フェリー航路・港湾積込場所・搬入先施設を地図で示す必要があります
行政書士
ポイント

★初めて申請する事業者の方は★

業務管理者の講習修了、車両の所有形態、収集運搬経路の計画などを事前に確認しておくことが重要です。特に「積替え・保管」を伴う事業は、単なる運搬業よりも審査が厳格です。

新規許可申請手続きの流れ

産業廃棄物収集運搬業の許可申請は「事前準備→ 書類の作成 → 申請 → 審査 → 許可証の交付」までの流れで進みます。

1.事前確認・相談・準備

まず、許可が必要かどうか、またどの種類の許可(産業廃棄物/特別管理産業廃棄物)が該当するか、許可を取得するための要件を満たしているかを確認します。必要に応じて、車両の確保等、事業計画の整理を行います。

2.講習会修了証の取得

公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する「産業廃棄物収集運搬業に関する講習会」を受講し、修了証を受け取ります。

※この講習は全国各地で開催されていますが、受講しようと思った時に希望地で開催があるとも限らないため、開催日程を早めに確認することをお勧めいたします。(沖縄開催は年数回程度です)

3.必要書類の収集・作成

申請に必要な書類を整えます。「必要書類リスト」については次のセクションへ

4.八重山保健所による形式審査

書類が整ったら、八重山保健所(生活環境班)に申請を行います。
提出時には、次の点を確認されます。

  • 書類の不備や押印漏れ、添付書類の有効期限、手数料(沖縄県収入証紙)の貼付
  • 記載内容の確認
  • 施設等の現場確認

※形式審査と施設等の現場確認を実施した後、沖縄県環境整備課(本庁)へ進達されます。

5.本庁での本審査・補正対応(約2〜3か月)

提出後、県による書類審査・内容確認が行われます。不明点や不足がある場合、「補正指導」や「追完指示」が出されることがあります。
審査の主なポイントは以下のとおりです。

  • 要件を満たしているか(知識・技能、施設基準、欠格要件)
  • 経理的基礎(財務基盤)が安定しているか
  • 提出書類の整合性、運搬経路の妥当性

※石垣市の場合、離島航送を伴う場合や積替え・保管を含む場合は通常より審査期間が長くなる場合があります。

6.許可証の交付

審査を経て許可が下りると、「産業廃棄物収集運搬業許可証」が管轄保健所より交付されます。許可証には、有効期限(5年間)と、取り扱い可能な廃棄物の種類が記載されています。

許可証交付後は、次のような義務が発生します。

  • 車両への社名・許可番号の表示
  • 委託契約書・マニフェスト(産業廃棄物管理票)5年間の保存
  • 更新申請の管理(期限の2か月前から申請可)

7.更新・変更届出

  • 有効期限:許可の有効期間は5年間
  • 更新許可申請:有効期限の2か月前から申請可能
  • 変更許可申請:事業の範囲(廃棄物の種類 又は 積替え・保管の有無)を変更する場合に必要
  • 変更届:代表者・住所・車両・積替え保管場所の面積/保管上限などに変更があった場合に必要(法人30日以内、その他10日以内)
行政書士
ポイント

★審査の標準処理期間

申請書受理後50日(積替え保管施設を含む場合は、60日)です。申請内容に誤りや書類の不足等がある場合は、書類の修正や追加提出が指示されます。なお、補正に要する期間、土日、祝祭日は、標準処理期間に含まれません。余裕をもったスケジュールで準備を進めましょう。

申請に必要な書類

産業廃棄物収集運搬業の申請では、提出書類の数が多く、内容も専門的です。
法人・個人の別や、取り扱う廃棄物の種類によって必要書類が異なるため、初めて申請される方にとってはかなりの手間がかかります。

最新の提出書類一覧・様式について

沖縄県公式サイト「産業廃棄物関係申請様式集」からダウンロードできます。
沖縄県 環境部 産業廃棄物関係申請様式一覧(外部サイト)

1枚でも不備があると「補正」や「再提出」が求められることがあり、何度も役所へ足を運ぶことになります。地元の行政書士に依頼することで、書類の作成・添付・確認を一括してサポートでき、大幅に時間と労力を削減できます。石垣市・八重山地域での申請は、ぜひお気軽にご相談ください。

許可取得後の義務と注意点

産業廃棄物収集運搬業の許可を取得した後も、廃棄物処理法に基づいて守らなければならないさまざまな義務・管理責任があります。これらを怠ると、行政指導や許可取消処分の対象となる場合もあるため注意が必要です。

1.車両への表示義務

収集運搬に使用するすべての車両には、「産業廃棄物収集運搬車である旨」・社名・許可番号(下六けたに限る)などを見やすい位置に表示する必要があります。

2.委託契約書・マニフェストの管理

産業廃棄物の運搬・処分を他社から委託される場合は、以下の義務が発生します。

  1. 委託契約書の締結と添付
    委託は書面契約で行う義務があり、契約書(5年間保存)には、運搬先の所在地や処分方法などの特定事項を含め、許可証の写しなど環境省令で定める書面を添付しなければなりません。
  2.  マニフェスト(産業廃棄物管理票)の取り扱い
    排出事業者は、他社に委託する際、管理票(マニフェスト)を交付しなければなりません(交付義務は排出事業者側)。運搬業者(受託者)は、運搬を終了した後、管理票に必要事項を記載し、管理票交付者(排出事業者)にその写しを送付する義務があります。(5年間保存)

※管理票の不備・不交付があると、排出事業者・運搬業者双方に行政指導が行われる場合があります。

3.更新申請(5年ごと)

産業廃棄物収集運搬業の許可は、有効期間が原則5年間です。(優良認定を受けた業者は7年
更新を忘れると、無許可営業扱いとなり、再度、新規申請が必要になります。

  • 更新申請は、有効期限の2か月前から受付開始
  • 手続き内容は新規申請とほぼ同様(書類一式の再提出が必要)
  • 有効期限を過ぎると自動的に失効

4.変更許可申請変更届出

許可取得後に変更が生じた場合、その内容によって「変更許可申請」又は「変更届出」どちらかの手続きが必要です。

  1. 変更許可申請(事業の範囲を変更する場合)
    ・取り扱う産業廃棄物の種類の変更(追加)
    ・積替え・保管の有無の変更(追加)
    ※あらかじめ変更許可を受ける必要あり
  2. 変更届出(事業の範囲以外の事項の変更)
    ・変更届出(事業の範囲以外の事項の変更)
    ・役員、法定代理人、出資者、使用人の変更
    ・車両、船舶の変更(追加・廃止)
    ・事務所、事業場の所在地の変更
    ・事業の一部の廃止、事業の全部廃止
    ※変更後 10日以内(法人の履歴事項全部証明書を添付すべき変更については30日以内)に届出

5.帳簿・書類の保存

運搬記録、委託契約書、マニフェスト、取引記録などの帳簿類は、5年間の保存義務があります。
電子データでの保存も認められていますが、いつでも提示できる状態で保管しておく必要があります。

6.石垣市・八重山地域での注意点

  • 積替え・保管施設を運営する場合は、保管量や保管期間を超過しないよう注意が必要です。
  • 離島間での運搬を行う場合は、航送計画や積替え場所の実施状況を随時確認する必要があります。
  • 変更届・更新書類の提出先は、沖縄県八重山保健所(生活環境班)です。
行政書士
ポイント

★行政書士に依頼するメリット

申請書類の不備防止、八重山保健所・沖縄県環境整備課(本庁)との調整は勿論、JWセンター講習会申し込みから、許可取得後の義務・管理まで一括してサポートいたします。

行政書士報酬

業務内容報酬額(税込)備考
産業廃棄物収集運搬業 新規許可 143,000円~実費・法定費用別途
産業廃棄物収集運搬業 更新許可99,000円〜実費・法定費用別途
産業廃棄物収集運搬業 変更許可99,000円〜実費・法定費用別途
産業廃棄物収集運搬業 変更届出33,000円〜実費・法定費用別途
※上記金額に「積替え保管」は含まれておりません。積替え保管を含む場合は都度別途見積りいたします。

申請手数料(県証紙代)

業務内容申請手数料
産業廃棄物収集運搬業 新規許可 81,000円
産業廃棄物収集運搬業 更新許可73,000円
産業廃棄物収集運搬業 変更許可71,000円
申請手数料は、申請書受理後は取り下げや不許可となった場合でも返金されませんのでご注意ください。

まとめ

産業廃棄物収集運搬業の許可取得には、講習の受講や多数の提出書類の準備、審査期間(おおむね2〜3か月)など、時間と労力を要します。申請の前には、車両の準備・契約関係の整備・経理書類の確認など、事前に計画を立てて進めることが重要です。

書類の不備や提出順序の違いで、補正や再提出になるケースも多いため、専門家である行政書士に依頼することでスムーズかつ確実に進めることができます。当事務所では、初回相談は無料で承っております。石垣市・八重山地域で産業廃棄物収集運搬業をはじめたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。

詳しくは:沖縄県 環境部 産業廃棄物関係申請様式一覧(外部サイト)

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